2006年03月01日

国民健康保険料と租税法律主義

こんはんは、「午後から社労士」です。

昨日が特定社労士に関する特別研修→試験の「仮」申し込み締切日でしたが、一応私も「第2回目限定」で申し込みをしました。理由は以前投稿したように営業活動に専念したいからですが、結果はどうなるのでしょうか、その結果が出る日を心待ちにしています。

今日は国民健康保険料と憲法における租税法律主義との関係に関する最高裁の判決が出た記事を紹介します。朝日新聞ウェブサイトからの引用です。

(Asahi.comより引用)

旭川国保料訴訟、上告棄却の判決 最高裁大法廷

 北海道旭川市の国民健康保険(国保)条例をめぐり、保険料の具体的な料率を明示せず、行政の告示で定めていることが、法律や条例に基づかない課税・徴収を禁止している憲法84条の租税法律主義に違反するかが争われている訴訟の上告審判決が1日、あった。最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は「保険料には憲法84条の規定は直接適用されない。同条の趣旨は及ぶが、旭川市の条例は同条の趣旨に反するとはいえない」と述べ、原告男性の上告を棄却した。

 国保には、国保法に基づいて「国保料」として徴収する方法と、より強い徴収権がある地方税法によって「税」として集める方法がある。この訴訟では、(1)「料」として徴収する場合も、「税」と同一視して、租税法律主義の適用を受けるのか(2)条例に具体的な保険料率まで書き込む必要があるのか――が争点だった。

 訴えたのは、旭川市の無職杉尾正明さん(70)。94〜96年度の保険料について、経済的な理由から市に減免請求したが退けられた。このため徴収方法の憲法違反を理由に、保険料徴収の賦課処分の無効を主張。上告審では、「自分の保険料が分からず、生活の設計ができない。徴収のしやすさよりも、住民にとってのわかりやすさが大事だ」と訴えた。

 一方旭川市は(1)保険料は保険金給付と対をなす徴収金で、租税ではない(2)たとえ租税法律主義が適用されても、条例で算定方法を具体的に定めているので、違反しない――と主張した。

 一審・旭川地裁は、国保の強制加入、強制的徴収、約3分の2を公的資金でまかなうという性質から、「保険というより公的サービス。一種の地方税として租税法律主義の適用がある」とした。行政庁に裁量の余地を残している点で、租税法律主義に反すると判断。市の徴収処分の取り消しを命じた。

 これに対し二審・札幌高裁は、「租税法律主義の趣旨を踏まえる必要はあるが、徴収に関する事項すべて条例に規定する必要はない」と判断。一審判決を取り消し、杉尾さんの請求を棄却した。

 国保と租税法律主義をめぐっては、「税方式」を採用している秋田市のケースで、82年に仙台高裁秋田支部が、「地方税も課税要件と手続きは条例で明示されなければならない」として、税率の算定方式だけを示した同市条例を違憲と判断している。

(引用ここまで)

国民健康保険料の賦課方法については、国民健康保険法第81条で

この章に規定するもののほか、賦課額、料率、賦課期日、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、政令で定める基準に従つて条例又は規約で定める。

と定められていますが、その旭川市では保険料については「前年所得に対する所得割、被保険者に対する均等割、世帯に対する平等割の合計額です。」(旭川市役所のホームページより引用)という記載です。おそらく他の自治体でも同じ形で保険料の額を定めているものと思われます。

確かに保険料率が設定されれば保険料がわかりやすくなると思いますが、国の健康保険を見ればわかるように、給料等ある程度の収入が確保されていて、そのランクに応じた標準報酬が設定されているからこそ設定できるのであって、所得が一定でない方が対象になる自治体の国民健康保険では実際の運用は非現実的だからこそ所得割等の合計が使われるのだろうと思います。

結論としては「保険料については租税法律主義の適用は受けない」し、「条例に具体的な料率を記載する必要はない」ということになりましたが、だからといって住民に保険料の仕組みの内容を理解できるように説明する努力は怠ってはならないと思います。保険料が大体予想できる国の健康保険や保険料が定額の国保組合とは違うわけですから、自治体国保に対する不信を感じさせないようにすることが重要だと思います。

なお、この訴訟は弁護士をつけない「本人訴訟」で最高裁まで争ったようです。簡易裁判所や地方裁判所ならともかく、最高裁まで「本人訴訟」を行ったのですから、原告本人のすごい執念が表われていると思いました。


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posted by gogosharo at 21:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 健康保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月27日

「船員保険」って知ってました?

こんにちは、「午後から社労士」です。

土曜・日曜とブログをサボってしまいましたが、今後の営業ツールを作成していたためにブログに時間をかけることができませんでした。ただし、やはり「手抜き」だということは土曜・日曜のアクセス数を見ても明らかなので、毎日継続することがいかに大事かということを痛感させられます。また、今日はセルフコーチング定例会の第2回目が行われるので今のうちに投稿します(今投稿しないと帰りが終電になってしまい投稿できないので)。

ところで皆さん、「船員保険」という保険制度があるのを知ってましたか?読売新聞のウェブサイトからの引用です。

(YOMIURI ONLINEより引用)

船員保険の年金を支給…第五福竜丸の元乗組員遺族に

 米国が1954年3月に行った太平洋ビキニ水爆実験で被ばくした第五福竜丸の元乗組員のうち、被災後に重い肝臓病を患って死亡した4人の遺族が、船員保険の遺族年金の支給を国に求め、認められていたことがわかった。

 元乗組員の遺族への支給が認められたのは初めて。

 申請していたのは、元乗組員23人のうち、C型肝炎ウイルスに感染し、重い肝臓疾患で50?70歳代で亡くなった4人の遺族。2004年12月に1人、05年6月に3人が申請し、それぞれ1?2か月後に認められ、05年10月までに支給が始まっている。

 船員保険の遺族年金の支給条件は「職務上で死亡したとき」とされ、遺族側は「C型肝炎に感染していた」などと被ばく後の輸血治療で肝臓障害になったことを裏付ける死亡診断書を提出していた。

 元乗組員を巡っては、国の社会保険審査会が00年7月、「乗船中の被ばく治療のための輸血と肝臓の病気との因果関係が認められる」として、一般の労災にあたる船員保険の療養給付の再適用を認める裁決を出した。

 それまでは被ばく治療のための輸血によるC型肝炎から肝硬変や肝臓がんの発症との因果関係が認められていなかったが、この裁決に基づき、船員保険の遺族年金に関しても適用の道が開け、遺族らが申請していた。

 療養給付の再適用が認められた2人のうち東京都大田区在住の元乗組員、大石又七さん(72)は「申請が認められたのは当然のこと。これをきっかけに全員に認められるようになることを祈っている。被ばくで後遺症を背負っている人に光が当たればありがたい」と話している。

(引用ここまで)

船員保険法は昭和14年にできた法律で、船員に対して厚生年金以外の広義の社会保険(健康保険・雇用保険・労災保険)をカバーする保険制度であり、加えて行方不明になった場合も保険給付がなされるのが大きな特徴です。管掌は政府で通常の社会保険と同様です。

正直言って一般の方には全くといってもいいほど馴染みのない法律といってもいいと思います。また、我々社会保険労務士でも試験勉強でほんの少し触る程度で、社労士の業務内容の範囲ではあります(社会保険労務士法第2条 別表第一 二十一号)が、専門にしている社労士はおそらくいないのではないか(私もこの記事を見て船員保険があるのを思い出した)と考えられます。

今回は第五福竜丸事件という大事件後の救済措置として船員保険という保険制度がクローズアップされた・その存在を知ったという方が多いと思いますが、もしかしたら以外と船員保険の対象者になっている方が数多くいるかもしれません。我々もこのようなマイナーではあるけれども重大な事件に遭遇する可能性はあるので、絶えず情報収集は怠ってはならないなと感じました。


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posted by gogosharo at 15:15| Comment(2) | TrackBack(1) | 健康保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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