2007年06月25日

ミートホープの従業員全員解雇と労働基準法

急遽労務関連のネタが見つかったので、投稿します。

全従業員を解雇へ=「会社存続困難」と専務−26日に正式伝達・ミートホープ(Yahoo News―時事通信より)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000062-jij-soci

ということで偽装問題が刑事事件にまで発展してしまった食肉加工会社・ミートホープですが、これ以上事業の継続は困難だとして従業員やパートタイマー全員に解雇通告をするようです。問題はこの解雇が法的に認められるのかということです。

労働基準法第20条は以下のように規定しています。

第一項 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りではない。


要するに、ミートポープとしては刑事事件にもなってしまったことで消費者や取引先からの信用を完全に失ってしまったことで事業の継続は困難であるから従業員などを即時解雇するということですが、論点は労働基準法第20条第一項の但し書きに該当して解雇予告手当を支払わなくてもよいのか、ということになります。

ちなみに、「その他やむを得ない事由」で「事業の継続が不可能になった場合」に該当するのは行政解釈上は下記のとおりになります。

(1)事業場の火災消失
(2)震災に伴う工場等の倒壊などにより事業の継続が不可能になった場合

上記のように、不可抗力・突発的に起こり、経営者として社会通念上採るべき必要な措置をもってしても如何ともしがたいような事由のために事業の全部・大部分の継続が不可能になった場合には解雇予告手当は支払わなくてもよいという解釈になります。その一方でこのような解釈があります。

事業経営上の齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由は、「やむを得ない事由」に該当しない。

つまり、経営上の見通しを誤ってしまったために経営困難になった場合は「やむを得ない事由」に該当しないということです。ミートホープの場合はおそらくこちらのほうに該当すると思うので、即時解雇しても30日分以上の平均賃金を支払わなければならないものと思われます。ミートホープとしては偽装の代償は非常に重すぎたとしか言いようがありません。

上記の解釈は、

労働法全書



労働基準法コンメンタール上巻



を参照に書きました。
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2006年12月26日

最低賃金制度の見直し

予定通り、本日2回目の投稿をします。最低賃金についてです。

(NIKKEI NETより引用)

最低賃金制度見直し、生活保護との「逆転」解消・厚労省

 厚生労働省は企業が労働者に支払う賃金の下限を定めた最低賃金制度を見直す。都道府県が地域別の最低賃金の額を決める際、その地域の生活保護の支給額に配慮する必要があることを最低賃金法に明記する。働いた賃金よりも生活保護の方が多いねじれを解消するのが狙い。生活保護の引き下げと最低賃金の水準切り上げの両方で対応する。

 厚労省は最低賃金法の改正案を年明けの次期通常国会に提出する方針だ。新制度では地域別最低賃金を働く人の賃金の安全網(セーフティーネット)と位置付け、「地域の生活費や賃金、事業者の支払い能力」を基準に決めるようにする。具体的な金額はこれから詰めるが、最低賃金の水準は上昇する見込みだ。

(ここまで)

最低賃金については、青森県で最低賃金だけで生活できるかというテストをしたことがありますが、本当に涙ぐましい節約の努力をしないと最低賃金だけでの生活は無理であるという結論が出ています。

参考記事:6月27日投稿「最低賃金だけでは生活できない!?

最低賃金は地域別・産業別によってそれぞれ額が違いますが、参考記事のように最低賃金だけでは生活することは非常に困難であること、生活保護の方が最低賃金より多いと、人によっては労働意欲が薄れてしまうという問題が根深く存在するということで最低賃金制度を見直すようです。

方針としては生活保護の引き下げと最低賃金の引き上げでバランスを図るようですが、いずれにしても憲法で保障されている生存権=必要最低限の生活していけるレベルを保持するための対策をとって欲しいものです。なお、具体的な最低賃金額は「地域の生活費や賃金、事業者の支払い能力」を基準にして今後詰めていくそうです。


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2006年11月18日

解雇と金銭と労働基準法

こんにちは、「ゴーゴー社労士」です。

ポスティングでデビルレイズが交渉権を獲得したヤクルトの岩村選手ですが、意外とすぐに活躍できそうな気がします。というのはデビルレイズはメジャーリーグ切っての弱小球団(創立9年で8度最下位、所属地区がヤンキースやレッドソックスという強豪チームがある以上仕方がない面はありますが)ということで、あまりプレッシャーがかからないと思われるからです。

今日は、解雇の問題についてです。日経新聞のトップ記事に解雇紛争を金銭で解決制度を導入予定という記事が載っていたので、紹介したいと思います。

(NIKKEI NETより引用)

解雇紛争、金銭で解決・厚労省検討、補償金を年収の倍以上に

 厚生労働省は解雇トラブルを補償金で解決する新制度を導入する方向で調整に入った。補償金の下限を年収の2倍程度とすることで労使の理解を得たい考え。労働紛争の防止を目的に制定する「労働契約法」に盛り込む方針で、審議会の議論を経て来年の通常国会への法案提出を目指す。

 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働条件分科会が21日、解雇紛争の金銭解決を含めた労働契約法について具体的な議論を始める。

(引用ここまで)

日経新聞のトップ記事には解雇の相談件数のグラフが載っていますが、圧倒的に多いのが普通解雇で、普通解雇に関する労使トラブルの深刻さがうかがうことができると思います。このような解雇の労使トラブルになってしまうと労使双方に時間と労力の負担が余計かかるということで、「それじゃ金銭で解決を」という制度を導入してみてはどうか、という考えのようです。企業側としては「(余計に出費は嵩むけど)お金で解決できるのなら」ということで導入を強く希望しているようです。

果たしてそう簡単に導入できるかというと、そうもいかない面があります。根拠は労働基準法第18条の2です。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

最近も、この条文を根拠に「権利の濫用」として解雇が無効とされた最高裁判決が出ています(詳しくは10月7日投稿の「権利の乱用」と「権利の濫用」参照)から、この判例を持ち出されると企業側は圧倒的に不利になります。その意味でも金銭(補償金)を支払っての解雇も当然慎重に行うべきものと思います。


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2006年08月22日

朝日新聞の「偽装請負」特集

こんにちは、「ゴーゴー社労士」です。

高校野球は早稲田実業の優勝で幕を閉じました。高校野球が終わるということは、夏が終わりに近づいているということと同義になっていますから、高校時代までは急いで宿題を片付けていった記憶があります。これが大学になると「さらに1ヶ月」夏休みがあるのでゆったりとした生活を送っていたような気がします。ただし、社労士受験生はゆったりなどしていられないのが今の時期です。刻々と迫りくる本番当日まであとわずかですが、頑張ってほしいものです。

今日は「偽装請負」について朝日新聞が特集記事を組んでいるようなので、この特集記事について紹介したいと思います。

日曜日の新聞の折り込みチラシには必ず求人広告のチラシが挟まっていますが、かなりの量のスペースを派遣業や請負業が占めるようになってきたのが最近の傾向ではないかと思います。その請負業で実態は派遣をしているのに請負と偽って労働させている行為を「偽装請負」と呼び、特に大手製造業等が積極的に利用していたようです。

偽装請負についての詳しい説明

この偽装請負ですが、当然労働者の立場としては非常に弱い立場にあるので、それを利用したといわれても仕方がないというケースがかなり出てきているようなので紹介します(引用記事は全てasahi.comより引用)。

松下電器系子会社による内部告発者の隔離(8月6日)
トヨタ系企業の労災隠し(8月13日)
ハローワークに対する不正求人(8月17日)

ある意味、日本の製造業等の産業の華やかな部分に隠れている「闇の部分」が現れているように思います。タチが悪いのは、この「偽装請負」を違法と認識している企業が3分の1程度しか存在しない(7月31日 asahi.com)ということです。こういったことが横行した原因の一つとして製造業への派遣解禁という規制緩和(2004年3月より)を挙げていますが、これを考えると何でも「規制緩和はいいことだ」ということに対して疑問を抱かざるを得ないような感じもします。

企業経営の模範たるべき大企業がこのようなことに手を染めているわけですから、中小企業でも「大企業がやっているんだから我々だって」という考えになるのは当然です。そういった悪循環を断ち切るための役割を大企業に認識してもらいたいと思います。


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2006年07月03日

高年齢者雇用は再雇用がほとんど

こんばんは、「ゴーゴー社労士」です。

何と、中田英寿選手が「現役を」引退するそうです。「日本代表の引退」ではなく「現役」引退です。一瞬見間違えたと思ったのは私だけではないはずです。その理由は本人にしかわかりませんが、今回のW杯に全てを出し尽くすつもりだったのでしょう。結果は出し尽くせていないように(私は)思いましたが、ブラジル戦後にピッチに仰向けになって動かず、その後も涙を流していた(?)のは、自分としてはこれで最後、という気持ちが強かったのでしょう。

今日は、日経新聞の1面トップに高年齢者雇用の記事が大きく記載されているので、取り上げたいと思います。

(NIKKEI NETより引用)

主要企業の9割「定年延長せず再雇用で対応」・日経調査

 4月施行の改正高年齢者雇用安定法で企業は従業員に65歳までの就労機会提供を義務付けられたが、主要企業の9割は定年の廃止や延長ではなく再雇用制度で対応していることが日本経済新聞社の調査で分かった。60歳超の賃金水準は60歳時の5割前後が相場で、再雇用の対象は希望者全員か労使で定めた基準の適合者との回答が大半だった。企業は自社の高齢人材を賃金を抑えながら幅広く活用しようとしている。

 主要企業126社に聞き取り調査をしたところ、定年退職した従業員を再雇用する制度を導入している企業は118社で、全体の93.6%を占めた。

(引用ここまで)

主要企業であれば、伝統的に若手から定年の方まで年齢層は幅広く存在するであろうし、最近は2007年問題という言葉が流行していること、人数が幅広く存在しているがゆえに人件費等もかさむのは間違いないことを考慮すると、定年延長ではなく再雇用で高年齢者を継続雇用するのはある意味当然の流れではないかと思います。

上記主要企業の中で定年延長したのはわずか5社で、それも改正法施行前に制度を導入しており、改正法に対応して定年廃止に踏み切ったのはマクドナルドたった1社ということのようです。ということはほぼ全てが再雇用で対応ということになります。

マクドナルドの場合は私のブログでも書きましたが、そもそも定年まで勤務する人が職種の関係もあるのでしょうが、非常に少ないこともあって定年制廃止に踏み切れたわけですから、そういう条件が整わない(つまり、定年予備軍が数多く存在する伝統的企業では定年制の廃止はかなり難しいのではないかと思います。

現時点では65歳までの雇用延長が主要ですが、少子高齢化が進んでいる現状を考えるとこのまま65歳までの雇用延長で済むのかといえばかなり苦しいかと思います。そうなると70歳までの雇用延長というような形になってしまうだろうし、ということは年金も・・・、ということもありえない話ではないので、今後の日本の高年齢者雇用情勢というのは大いに気になるところです。


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2006年04月21日

労働時間設定改善に関する「指針」

こんにちは、「ゴーゴー社労士」です。

今日も東京遠征です。今日は私も加入しているセルフコーチングの定例会が行われるため、東京(ちよだプラットフォームスクエア)に出かけます。前回は大手町から行こうとして自滅(道に迷った)のですが、場所の地図を持っていかなかったのも自滅の要因の一つでした。なので今回は地図を持って(といってもプリントアウトしたものですが)、懲りずに大手町から行こうと思っています。今回は大丈夫だと思います・・・。

私のブログは「労働時間等設定改善法」に関するキーワードで検索をしてくる方が多いのですが、4月から時短促進法に代わって制定された法律ということで結構気にしている方が多いという実感を持っています。4月から改正されたので有名なのが高年齢者雇用安定法や労働安全衛生法ということで、労働時間等設定改善法はあまり目立たないですが重要な法律であることを感じます。

労働時間等設定改善法の全文

その労働時間等設定改善法に関連して、厚生労働省が労働時間等設定改善「指針」を公表しました。

労働時間設定改善「指針」本文

労働時間設定改善「指針」概要

上記「指針」を参考にして、労使が「労働時間等改善設定委員会」(委員の半数を過半数労働組合、あるいは労働者の過半数代表者の推薦に基づいて選任することが委員会設置の条件)を設置した上で労度時間短縮等に関する決議が出た場合、その決議は労使協定に代えることが可能になります。ここでいう「決議」は、委員会の会議への出席を問わず、委員全員の5分の4以上の多数の賛成を意味します。

この決議によってフレックスタイム制、時間外・休日労働、一斉休憩原則の例外、年次有給の計画的付与が実施できます。また、変形労働時間制、みなし労働時間制、専門型裁量労働制については労働基準監督署への届出が免除されます。

上記「指針」はあくまでも参考であって強制するものではありませんが、「指針」を完全に無視することはできないと思います。「指針」も参考にして、労働時間の短縮等にあたってそれぞれの事業場に見合った、かつ実際に運用できるようなプランを委員会で話し合ってほしいと思います。当然ながら、委員会で決まった決議は事業場で働く人全員に公表する必要があります。全員に行き渡らなければ意味がありませんから。


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2005年10月28日

今日の気になった記事

今日の読売新聞の記事の中に気になる記事があったので
紹介しておきます。

(引用ここから)

「パワハラ」で労災認定、上司しっ責で自殺の営業所長
 東証1部上場の道路工事会社「前田道路」(本社・東京)の愛媛県内の営業所長だった男性(当時43歳)が昨年9月に自殺したのは、上司からしっ責され続け、心理的な圧迫を受けたことが原因などとして、新居浜労働基準監督署は労災と認定し、27日、妻の岩崎洋子さん(43)(松山市)に通知した。

 弁護団は「パワーハラスメント(職権による人権侵害)が原因と認められた異例のケース」としている。

 弁護団によると、男性は2003年4月に営業所長になったが、昨年7月ごろから、契約料を発注元から減額されるなどして売り上げ目標が達成できず、四国支店(高松市)に呼び出され上司に厳しくしっ責された。昨年8月には、下請け工事代金が滞ったため、家の預金から150万円を引き出して業者に支払った。

 しかし、営業成績は不振が続き、上司から「所長として能力がない」と約2時間責められるなどしたため、うつ病になったという。同年9月になってもしっ責は続き、休日明けの13日に、「怒られるのも言い訳するのもつかれました」などとの遺書を残し、営業所敷地内で首をつり自殺した。

(2005年10月27日23時44分 読売新聞)

(引用ここまで)

パワーハラスメント、いわゆる職場いじめの問題ですが、この間の
支部会でも研修会の一部で説明がありました。そのときはあまり興
味はなく、このようなケースがあるんだ的な認識しかありませんで
したが、この記事を読んで意識を変えました。

上記のケースは精神的苦痛を被っただけでなく、経済的損失も被っ
たという点で非常に悪質だと思います。労災が認定されて終わり、
ということにはならず、裁判になる可能性があるのではないでし
ょうか。

パワーハラスメントについて、もっと深く勉強しようと思います。


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posted by gogosharo at 18:07| Comment(2) | TrackBack(1) | 労務問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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